日本水産中国輸入解禁後、和牛も解禁へ

2025-07-13
日本水産と和牛の中国輸入解禁

日本産食品の中国市場への参入において、大きな進展が報告されています。日本水産の輸入制限が段階的に解除された後、今度は和牛の輸入解禁も目前に迫っている状況です。この動きは、中国の高級食品市場における日本産品への需要増加と、両国間の貿易関係改善を反映しています。

日本水産の輸入解禁状況

中国は、日本産水産物の一部輸入を再開しました。2023年8月から全面禁止されていた輸入措置が一部緩和され、福島県、群馬県、栃木県、茨城県、宮城県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都、千葉県の10都県を除く日本の水産物が対象となります。

日本水産の輸入解禁状況

輸入再開の経緯と条件

輸入再開の経緯:中国は、東京電力福島第一原発の処理水放出を理由に、2023年8月から日本産水産物の輸入を全面禁止していました。今回の措置により、約1年ぶりに輸入が再開されることになります。

再開対象:今回の輸入再開措置では、福島県など10都県を除く日本の水産物が対象となります。これにより、北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の32都道府県からの水産物輸入が可能になります。

条件付き再開:輸入再開には、原産地証明や放射性物質検査など、一定の条件が設けられています。日本側は、これらの条件を満たすための体制整備を進めており、輸出業者に対して適切な証明書の発行や検査の実施を求めています。

技術的要件の合意:令和7年5月28日、農林水産省と中国海関総署の間で、日本産水産物の中国向け輸出再開に必要な技術的要件について合意が成立しました。これにより、中国側の必要な手続を経て、輸出再開が見込まれています。詳細については、農林水産省の公式発表をご参照ください。

和牛輸入解禁への期待

日本水産の輸入解禁に続き、和牛の輸入解禁も2025年内の実現が期待されています。中国の富裕層を中心に、高品質な日本産和牛への需要は年々高まっており、特にA5ランクの黒毛和牛は、中国の高級レストランや富裕層の間で非常に人気があります。現在、中国では主にオーストラリア産やアメリカ産の牛肉が流通していますが、日本産和牛の解禁により、市場に新たな選択肢が加わることになります。

日中動物衛生検疫協定の発効:令和7年7月11日、日本産牛肉の中国向け輸出再開の前提となる日中動物衛生検疫協定が発効しました。この協定は、国境を越える動物疾病の管理における両国の協力強化を通じて、動物及び動物由来の製品の安全な取引を促進することを目的としています。詳細については、農林水産省の公式発表をご参照ください。

日本和牛の輸入解禁準備

解禁に向けた準備状況

和牛輸入解禁に向けて、日本側では以下の準備が進められています:

  • 衛生証明書の整備:各都道府県の食肉衛生検査所による厳格な検査体制の確立
  • トレーサビリティシステムの強化:個体識別番号による完全な追跡システムの構築
  • 輸出施設の認証:中国側の要求する衛生基準を満たす加工施設の認証取得
  • 輸送体制の整備:温度管理を徹底したコールドチェーン物流の確立
食品安全基準の強化

市場への影響と今後の展望

和牛輸入解禁が実現すれば、年間数百億円規模の市場が創出されると予想されています。中国の高級牛肉市場は現在約2000億元(約4.2兆円)の規模があり、日本産和牛の参入により、市場全体の品質向上と価格競争の激化が期待されています。また、日本産食品全体のブランド価値向上にも寄与し、他の日本産食品の輸入促進にもつながる可能性があります。

今後の課題としては、安定した供給体制の構築、価格設定の最適化、中国消費者への日本産和牛の価値訴求などが挙げられます。しかし、日本水産の輸入解禁の成功事例を踏まえ、和牛輸入解禁も順調に進むことが期待されています。

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